都会に疲れたニューヨーカーたちへ~NY ロックランドの週末 |
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先日、キンドルでこんな本を読みました。 "Quiet: The Power of Introverts in a World That Can't Stop Talking" 英語で"Quiet"というのは、大人しい人という意味もあります。 ステレオタイプなアメリカ人のイメージは、外向的(Extrovert)、社交的、積極的、自己主張が強く時に威圧的、というところだと思います。 ところがこの本は、実はアメリカ人の50%はIntrovert「内向的」なのに、学校教育を通じて「外向的」であることが成功者であると刷り込まれた結果、「外向的」なフリをしている人が多いと書いてます。 この筆者は、本来「内向的」な性質なのに、ハーバード大学卒業後、自分を変えようと、あえてウォールストリート街で弁護士になってしまったという女性です笑 さて、ここでいう外向的、内向的の意味ですが・・・ 内向的とは、日本人に多い「シャイ」とは違うそうです。 人に嫌われるのを恐れるのが「シャイ」。 一方、外交的・内向的とは、例えば一例として、週末はパーティで新しく出会う人々との会話を楽しむ人が外向的、週末は親しいと友とワインを飲み、一人静かに本を読んで過ごすことを選ぶ人が内向的なのだそうです。 ただ、内向的な人とシャイな人は、行動が非常に似ているため、表面からは区別をつけるのが難しいそうです。 もちろん100%外向的、100%内向的という人間はいないそうで、もしいたらそれは精神病理的には「サイコパス」に区分けされるとか・・・笑 さて、本題に戻りますと。 筆者が子供の頃、学校の机は、黒板を向いて列を作って並べられていました。 ところが今のアメリカの初等教育では、机は班ごとに向かい合って置かれているそうです。 何か課題を与えられたとき、筆者の時代は、自分一人で机に向かって考えることが求められましたが、今のアメリカ学校教育は、向かい合った机の班ごとに、話し合って答えを出すことが求められるそうです。 これは、ソーシャライジング(社交)スキルや、自己主張、リーダーシップを養うための教育で、こういったスキルを訓練された「外向的な」人物が、アメリカでは「成功者」と認められるそうです。 でも筆者は、これは「内向的な」子供が持つ、分析力や熟考力といった能力を殺すことになり、ひいてはアメリカ社会の損失であろうと訴えます。 本にあったひとつのエピソードが印象的でした。 筆者と同様に、ハーバード大を出て、ウォール街で弁護士をする内向的な女性の話。 いつもは上司のアシスタント的な仕事をしていましたが、ある日、上司が休暇中に、彼女が直接、巨額融資の案件を担当しなければならなくなってしまいました。 「もうやだ・・・逃げたい」と涙目の彼女。 そこへ、クライアントを連れて乗り込んでくる相手側の女性弁護士。 彼女と彼女のクライアントを前に、声を張り上げ、自信たっぷりに、威圧的に、主張を展開してきます。 「こんなに慈悲深いオファーをしていただいて、あなたたちは本当に幸運なのよ!」と、ゴーマンかましてよかですか笑 圧倒されて何も言えない彼女を、不安そうにチラ見する彼女のクライアント・・・ (だって、何も言うことないし。無理だし。こんな風に私も自信たっぷりにもの言えたらいいのに) でも、お仕事ですから笑 彼女は、自分のペースで、冷静に事実をリストアップし、分析を述べ、相手側の意見を聞き、妥協点を探るべく話しはじめました。 途中、相手側のクライアントの一人が、「話にならん!」と書類を床に放り投げ、会議室を出ていきましたが、それも静かに無視して、決して声を荒げることなく、最後まで自分のペースで会議を進めました。 その案件は、結局その日はまとまらず、別の日に持ち越しということで終わりましたが・・・ 翌日。 相手側の弁護士が、彼女に電話をしてきました。 「あなた、ウチで働かない?あなたみたいな弁護士が欲しかったのよ。報酬ははずむわ。」 そしてなんと、相手側のクライアントも、彼女の上司に電話してきました。 「次の案件は、おたくの事務所にまかせたい。あんなに冷静に、エゴを出さずに優秀に仕事を進める弁護士を見たことがない。」 内向的な人が持つ力が、アメリカ社会に認められた瞬間でした。 いや・・・この人の場合、たまたま内向的だっただけで、元々すっごい優秀な方なんだと思いますが^^; それよりも私にとって一番印象深かったのは、アメリカ人も、「外向的」であるべきという刷り込みに苦しんでいるということでした。 確かに、私がプライベートで話す親しいアメリカ人に、よく言うステレオタイプなアメリカ人って、いないんですよね・・・ 言葉を選んで話し、遠慮をし、謙遜もし、日本人のように建前と本音もあります。 むしろ、アメリカ人とはこうであるという先入観念で、最初から威圧的に、極論で話してくる外国人に、時にはとまどっていたりもします。 アメリカで生まれ育ったアメリカ人と、移民系が理解しあえないのは、案外、こんなところにも原因があるのかもしれません。 この本の著者は、決して「外向的」なアメリカ人を否定しているのではありません。 実際、彼女の愛するご主人は、非常に外向的な方だそうです笑 ただ、アメリカ社会は、「外向的」モデルを「成功者」とする学校教育を見直し、もっと「内向的」な人々の力も引き出す教育に変えていくことが、多くのアメリカ人の幸福と、ひいてはアメリカ社会の利益につながるのではないか、ということを訴えています。 少なくとも、カスタマーサービスは格段に良くなりますよね~、きっと・・・ だって、今んとこ、自信たっぷりに嘘教えるカスタマーサービスばっかなんだもん(爆) 客をヘルプするよりも、いかに自分が有能(そうに見える)しゃべりができるかに重点を置き、ひいては客が間違っているという方向へ強引にもっていく究極のディベート・テクニック笑 そんなこんなで、今回のブログは文字ばっかなので(笑)、最後に著者のスーザン・ケインさんの講演のビデオ。日本語字幕つきです。 知的で、品のある女性で憧れます。こんな風に英語を話せたらいいな~^^ にほんブログ村
by kawamuko
| 2017-08-12 22:07
| 番外
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Comments(3)
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はっぴ~
at 2017-08-13 14:49
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凄い~!(ФωФ)哲学ですね(*´ω`*)
一人でいる時間とか、一人で考える時間とかなかなかないんですかね?アメリカ人。。。 忙しすぎるのかな?(*_*) スーザンケインさんのビデオ見ました!o(^o^)o 彼女の気持ち、凄く分かります♪ってか、分かる気がする?って言うのかな? 彼女のおじいちゃんは、牧師さん? 強いアメリカが、出来上がった背景。。。?が、外向的。。。(*_*)
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kawamuko at 2017-08-14 08:26
強いアメリカができあがった背景・・・なるほど~、国家戦略?だったのかもしれませんね!
私はどちらかというと引きこもり系?というか、家にいて苦にならない性格なので、私もスーザンケインさんの気持ち、よくわかります笑
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johgo-009 at 2017-08-16 17:58
内向的な人の方が一生懸命に見えるし、親しみも湧きますね。
俺も劣等感の塊なので、最近は無理しないです。 分かる人が分かってくれれば良いと。 それで、やる気がないと誤解されて上司に激怒されるんですけど。 後になって結果が出ると、上司も喜んでますけどね。 フランス人の人と話したことありますが(もちろんいい加減な片言英語と栃木弁で)静かで、神経質そうでした。自分で酒乱だと言ってましたが・・・。 一番陽気だな~と思ったのは、アルゼンチンの日系人でした。 会ったその日に友達になりました(笑)
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